今週の気になったことば【2018/5/19-5/25】

良い言葉に触れて、その言葉の何が好きかを考えること、長らくやっていなかったところなので、週ごとでまとめていこうと思います。

 

今週は会社の広報を考えていたこともあって、色んな会社のHPなどで、企業理念やコンセプトを見ていた。自分が知っている個人や小さな事務所が中心になっているけれど、気になった言葉たち。なんだか今の気分を反映しているような気もする。

 

 

ー「おはよう」 「ありがとう」 挨拶は大きな声で、365日の気持ちのいい朝を作る―

goodmornings.co.jp

まるで小学校に貼りだされている生活標語のようだけど、これが会社HPのcompanyページに出てくると、爽やかで気持ち良い雰囲気や、「朝」からイメージする生活感も含めて、すごく新鮮に移る。この会社で働いているひとは、しゃんと背筋が伸びていてこだわりはあるけど、厳しすぎず笑顔、なんだろうなぁと思う。

 

 

「物語を紡ぐ」

僕たちの活動は物語の始まりの一節を紡ぎ出す事だと考えています。それは、その場所と向かい合う事から始まります。 向かい合う場所は様々で、時として都市の中のパブリックスペースだったり、大自然の中の小さな場所だったり、使われなくなった施設だったり、あるいは一枚の紙の上だったりします。僕たちはその場所と向かい合いながら、その場所が持つ様々な要素ー例えば光や空気。人の営みやそこにある自然。美しいものや醜いもの。その場所が持つ過去の記憶。それらを丁寧に拾い集めてその場所に物語を紡ぎます。紡がれた物語は、新たな人の営みを生み、さらに多くの物語を紡いでいくのです。

stgk.jp

「物語を紡ぐ」という言葉自体はありふれている。でもリード文の世界観が豊かだ。「一枚の紙の上」「光や空気」「美しいものや醜いもの」「その場所がもつ過去の記憶」自分たちの仕事を取り巻くものの切り取り方が情緒的でうまい。ですますを無くして、センテンス並べたら詩になる。そういう繊細な感受性で受け止めてくれそう。

 

 

Creative agency for  Explorers

私たちがいつも大切にしているのは、クライアントもクリエイターも垣根なく、同じ方向を見て一緒に走ること。たとえ行き先が宇宙の果てでも、予測のつかない未来でも。
山あり谷あり、いつだって笑い合いながら旅していたいのです。

loftwork.com

「冒険」という言葉の最大値としての「宇宙の果て」「先の見えない未来」。使い方によっては大げさになってしまうのだけど、「笑いあいながら旅をしていたいのです」でうまく着地して、人間サイズのワクワク感を盛り上げている。

 

 

つくるんちゃいます。

京の四季を盛るだけです。

www.tankuma.jp

京都の老舗会席料店「本家たん熊」のサイトからの一文。

謙虚にみせかけて、バッキバキの京都プライドが伝わってくる。京都で老舗でミシュラン二つ星という看板を背負ってこれを言われたら、はは~っと平伏してしまう。

いい一文なんだけど、HPのトップは文字が多すぎてちょっと残念。

「削ぎ落とす、本物が浮かび上がる」がトップのコピーのようだけど、「つくるんちゃいます。京の四季を盛るだけです。」の方が断然良い。

 

 

 

たまらなく

一途な人たちが

たえまなく

幸せでありますように

kaorinikaido.com

コピーライター二階堂薫さんの個人ページ。

「たまらなく」「たえまなく」この人の持っている包容力というか、人間愛みたいなのが嫌らしくなくほとばしっている。〇〇ですという言い切りじゃなくて祈りのような形にしてるのがいいんだろうな。「たまらなく一途な人たち」としているけど、内実はきっと「たまらなく一途なあなた」へのメッセージだ。でも「あなた」直接書くと愛が重すぎる。「人たち」とちょっと分散させてバランスを取る感じ、気持ちいい。